Q . 日本の永住権を取りたいです。申請条件やメリット・デメリットを教えてください。~おしえて!NINJA Q&A ~
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NINJA事務局より
おしえて!NINJA Q&A は、就活・転職活動をするうえでの疑問はもちろん、在留資格や日本の職場における疑問をズバリ!解決するコーナーです。日本で働く外国人の皆さんからよくある相談を紹介していますので、あなたの悩みも解決するかもしれませんよ。
A. 日本の永住権の申請方法、メリット・デメリットを下記で解説します
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◆日本の永住権(えいじゅうけん)とは?
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永住権とは、在留資格「永住者」を取得することで、在留資格が「永住者」になると、【仕事内容など、日本での活動に制限がなく】【在留期間の制限なく】日本で暮らすことが出来ます。
在留資格「永住者」を取得すれば、日本人と同じように仕事を選ぶことができ、日本人とおなじように自由な活動をすることが可能になります。
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◆永住権(在留資格「永住者」)のメリットは?
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永住権(在留資格「永住者」)を取得するメリットは下記です。
【仕事を自由に選ぶことができ、自由に活動をすることができる】
身分にもとづく在留資格(永住者・日本の配偶者等、定住者、永住者の配偶者等)以外の方は、在留資格によって、仕事内容が限定されます。しかし、永住権・在留資格「永住者」になると、日本人と同じように自由に仕事を選ぶことができます。また、仕事を辞めて、勉強をする、ボランティアをする、旅行をするなど自由な活動できます。
【在留資格変更をする必要がない※更新手続きは必要】
上記のように、在留資格「永住者」は自由に活動することが許可されていますので、仕事を辞めて学校に行くことになっても、在留資格を変更する必要はありません。
ただし、在留カードの更新手続きは必要です。17歳以上であれば、在留資格の更新手続きは7年に1回になります。就労や留学に関する在留資格と比較すると、更新期間はながく更新書類も少ないので、手続きの負担は軽くなります。
【銀行の融資(住宅ローンや事業資金)を受けやすくなる】
永住権・在留資格「永住者」になると ” 日本に長く暮らし信用がある ” いう解釈になりますので、住宅ローンを組むことができたり、銀行から事業資金などの融資をうけやすくなります。日本でマイホームを持つことや、投資や事業をはじめる際にも融資を受け活動がしやすくなります。
【配偶者との離婚・死別があっても日本に在留できる】
在留資格「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の場合、配偶者と離婚・死別した場合、在留資格の更新ができないケースがあります。在留資格「永住者」であれば、婚姻状況や家族の状況が変わったとしても、あなた自身に影響がでることはありません。
【退去強制が免除されることがある】
通常であれば、退去強制になるような事があっても、永住権・在留資格「永住者」で退去を免れることもある様です。
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◆永住権(在留資格「永住者」)のデメリットは?
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永住権(在留資格「永住者」)のデメリットは、特に見当たりませんが、日本国内において「外国人」としての立場は変わりません。それをデメリットと感じる様であれば、日本国籍に変更する「帰化」を検討してみるのも良いでしょう。
しいて言うのであれば、あなたの母国と日本が戦争になったり、外交でもめたりした場合、なにかしらの不利益を被る可能性はあります。
帰化においては、下記の記事を参考にしてください。
『Q 日本人になりたいです。日本に帰化するメリット・デメリットを教えてください。~おしえて!NINJA Q&A 一覧~』 https://nextinjapan.com/news/view/157
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◆永住権(在留資格「永住者」)が申請できる条件は?
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永住権(在留資格「永住者」)が申請できる条件は下記です。
・素行が善良であること
・独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
・その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
・申請にともなう書類が準備できること
(2020年1月現在・法務省ホームページより)
また、これら以外にもいくつかの条件を満たす場合、上記の条件を満たさなくても申請が可能です。
それぞれの詳細は以下の通りです。
【素行が善良であること】
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
【独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること】
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。
【その者の永住が日本国の利益に合すると認められること】
①原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち。就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
②罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
③現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
④公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
【申請にともなう書類が準備できること】
在留資格「永住者」を申請する際に、「身元保証書」「課税証明」「納税証明書」「(雇用主等からの)推薦状」「貯金通帳のうつし」などを必要とする場合があります。「身元保証書」については、日本人や在留資格「永住者」をもっている外国人が身元保証をする形になりますので、その書類が準備できないと申請ができません。 ※申請前の在留資格によって求められる書類は変わります
下記に該当する場合は、上記の条件をみたさなくても永住申請ができます。
【在留資格「日本人配偶者等」「永住者の配偶者等」「特別永住者の配偶者等」で結婚して3年以上、1年以上在住の場合。実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ1年以上本邦に在留していること】
その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留している場合、永住申請が可能。
【在留資格「定住者」で、5年以上継続して本邦に在留していること】
【「難民認定」を受け、認定後5年以上継続して本邦に在留していること】
【外交・社会・経済・文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で、5年以上本邦に在留していること】
【地域再生法(平成17年法律第24号)第5条第16項に基づき認定された地域再生計画において明示された同計画の区域内に所在する公私の機関において、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成2年法務省告示第131号)第36号又は第37号のいずれかに該当する活動を行い、当該活動によって我が国への貢献があると認められる者の場合、3年以上継続して本邦に在留していること】
【出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(以下「高度専門職省令」という。)に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの】
①「高度人材外国人」として3年以上継続して本邦に在留していること。
② 3年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められること。
【高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの】
①「高度人材外国人」として1年以上継続して本邦に在留していること。
② 1年以上継続して本邦に在留している者で,永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められること。
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◆永住権(在留資格「永住者」)、不許可の事例は?
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在留資格「永住者」の申請において、不許可になる主な理由を紹介します。
(永住の不許可の異議申し立てはできません)
①日本産競走馬の生産・育成、輸出、馬産農家経営ユーザーで講演等を行っているとして申請があったが、入国後1年半と短期であることから不許可となった。
②画家として多数の作品を製作・保有し、美術館の建設後に寄贈するとして申請があったが、在留状況が良好とは認められず(不正な在留に関与)、不許可となった。
③外国人の子弟の教育を行う機関において教師の活動を行っているとして申請があったが、当該活動のみをもって社会的貢献等には当たらないものとして不許可となった。
④約1年間、高校で教師をしている他、通訳等のボランティア活動を行っているとして申請があったが、当該活動のみをもって社会的貢献等には当たらないとして不許可となった。
⑤起業し、当該法人の経営を行っているが、その投資額、利益額等の業績からは顕著なものであるとはいえず、我が国経済又は産業に貢献があるとは認められず、不許可となった。
⑥大学で研究生として研究活動を行っているが、教授等の指導を受けて研究している通常の研究生、学生等の範囲内での研究活動であり、研究分野において貢献があるとまでは認められず、不許可となった。
⑦投資関連企業の課長相当職にある人物であるが、当該勤務のみをもって我が国経済に貢献があるとは認められず、他に貢献に該当する事項もないことから不許可となった。
⑧システム開発関連企業の課長補佐相当職にある人物であるが、当該勤務のみをもって我が国経済に貢献があるとは認められず、他に貢献に該当する事項もないことから不許可となった。
⑨約9年間、本邦に在留し、作曲活動や自作の音楽作品発表会を行い、我が国と本国との音楽分野における交流に努めているとして申請があったが、文化・芸術分野における我が国への貢献とは認められず、不許可となった。
⑩約9年間在留し、我が国の芸能人による本国での公演の実現、我が国と本国の企業交流にかかるイベント実現等を理由に申請があったが、我が国への貢献とは認められず不許可となった。
⑪入国後、3年間は留学生として在留し、その後、我が国の大学の医学部助手として5年間勤務していたが、我が国の高等教育の水準の向上に貢献があったものとは認められず不許可となった。
⑫語学指導助手として入国し、3年間は本邦内の中学校で、それ以降は高等学校において約4年間英語教育に従事していたが、日本の大学又はこれに準ずる機関の常勤又はこれと同等の勤務の実体を有する教授・助教授又は講師としては認められず、高等教育の水準の向上に貢献のあった者とは認められなかった。(在留歴6年11月)
その他、永住申請をしたものの「妊娠・出産で母国に一時帰国をしていた期間があった」「駐車違反をしていた」などが原因と思われる不許可のケースもあります。ただし、これは不許可の理由として本人が「思い当たる事」のため、必ずしも同じ状況だからといって不許可になるとは限りません。
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◆永住権(在留資格「永住者」)の審査期間は?
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永住申請の審査期間は、法務省のホームページによると「4か月」と記載がありますが、実際にはもっと時間がかかる場合も多い様です。
永住申請したいが条件を満たさないなどの不安要素がある場合は、条件を満たすように申請時期を改めたり、申請取次専門の行政書士や弁護士に相談してみると良いでしょう。
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◆永住権(在留資格「永住者」)取得後の注意点は?
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永住権・在留資格「永住者」を無事に取得できたとしても、取り消されるケースもあります。取り消しをされないように下記のことを注意しましょう。
【1年をこえる出国の場合は、再入国許可を受ける】
出張や帰省、旅行等で日本を出国し1年を超えた場合永住権を失ってしまいます。1年を超える可能性がある場合は「再入国許可」を取っておきましょう。(最長5年は有効になります)
【住民票・転入届・転出届などの各種届出はしっかり提出しておく】
住民票・転入届・転出届を出さなかった場合、永住権が取り消される場合があります。日本で生活をするうえで求められる、各種届出はしっかり届けをだしておきましょう。
【更新手続きを忘れずに】
永住者は在留資格の変更はしなくても良いですが、在留カードの「更新」はする必要があります。在留カードの有効期限をよくみて、有効期限の前に更新手続きをしましょう。
【引き続き、違反・犯罪がないように】
永住権を得たとしても、犯罪をおかすなど日本の国益を損なうような活動をした場合は、永住権を取り消される場合があります。懲役や禁錮に処せられた場合には、退去強制になることがあります。
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◆まとめ 日本の永住権の取り方 メリット デメリット
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・永住権とは、在留資格「永住者」を取得すること。
・「永住者」になると、【仕事内容など、日本での活動に制限がなく】【在留期間の制限がない】
・「永住者」になるとメリットは多く、デメリットはあまりない
・在留資格「永住者」は、基本的には、通算10年以上在留しておりうち5年以上就労が条件だが例外もある
・在留資格「永住者」の審査期間は4か月と言われているが、実際はそれよりも長い可能性がある
・在留資格「永住者」とはいえ、取り消されることもあるので注意。とくに1年をこえる出国には注意。
永住申請許可について(法務省ホームページ)▶▶▶