Anna Bedulina(アンナ・べドゥリナ) ロシア出身 │ 30歳 │ 女性 │ 在日9年目
ロシアから日本に留学し、現在は株式会社ザ・プラント プロダクトマネージャーとして活躍されているアンナさん。日本の企業文化に戸惑いながらも、自分の強みとスキルが活かせる仕事に巡り合い、キャリアアップを実現した秘訣をお聞きしました。
気が付いたら子どもの頃から、日本に興味をもっていました。父は村上春樹が好きで、母はジブリ作品が好きで、私はポケモンなどのアニメをよく見ていましたので、自然と日本についてもっと知りたいと思うようになりました。侍や茶道など伝統的で珍しい文化があり、ヨーロッパとは明らかに違う文化に魅力を感じていました。
いずれ、日本語を勉強したいと思っていましたが、家族の方針で、まずは将来のために良い大学に入学することが先決でしたので勉強に集中しました。大学はモスクワ国立大学で物理学を専攻しました。私の家族は全員 理系で、兄も物理学を学んでいました。ITのプログラミングなどにも興味がありましたが、「物理を学ぶとロジカルな思考が身につき、世界はどういう風につくられているかを理解でき、様々な分野で応用がきく」という家族の勧めもあり、物理学を専攻しました。
大学に入学してからは、思いのほか勉強が忙しく、アルバイトもしていたので、なかなか日本語を勉強する時間がとれませんでしたが、ボランティアで教えている日本語学校に週に2回通うことを4年間続け、コツコツ勉強を積み重ねていきました。
ある時、ボランティアの文化交流プログラムで、日本の岐阜県に行く機会がありました。神社に2週間ほど宿泊し、地元のお祭りを手伝ったり畑仕事を手伝ったりしました。「まったく別の世界に来た」という印象で、この体験で「もっと日本で暮らしたい」「やっぱり日本が好き」と確信しました。
大学では、交換留学の制度があり、日本に留学をするチャンスを得ました。大学の寮では、フランス、マレーシア、アメリカなど多国籍な留学生たちと交流することができました。
交換留学後も「日本に残りたい」という気持ちが強くなっていた為、英語の先生のアルバイトをしていた会社にそのまま就職をしました。子供たちに英語を教えるという仕事は楽しい経験でしたが、やはり大学で学んだ事を活かせる、アナリティックな仕事をしたいと考えていました。
大学時代にIT企業でのインターンシップの経験があることと、大学での専攻も活かせるという理由から、IT系企業に絞って転職活動を行いました。しかし、私の場合は「新卒の就職活動」でもなく、「中途採用の転職」にしては仕事経験が浅いという中途半端な立ち位置にいたため、壁にぶつかりました。新卒のジョブフェアにいくと、「あなたはすでに就職しているのでダメ」と言われてしまったり、転職サイトで求人に応募をしても「仕事経験がないからダメ」と言われてしまい、新卒採用と中途採用の狭間から脱出できずにいました。そんな中、ジョブフェアで、あるIT系企業と出会い、システムエンジニアとして採用をしてもらえることになりました。
受託開発で常にプロジェクトが納期に追われている状態でしたので、残業は多く、また上下関係にも気を使いました。日本の企業文化の違いに苦労し「もう、ロシアに帰ろうかな」と何度も心が折れましたし、「この仕事は自分の強みが活かせていないのでは」とも思いましたが「この経験を糧にして、いつかキャリアアップをするぞ」と自分を奮い立たせていました。
2年間のIT企業で勤務した経験をもとに、いよいよ転職活動を行いました。前職の経験から「自分の強みを活かし、日本で働き続けるには、どのような職種・環境の会社が良いのだろうか」と考え、転職先を選ぶ条件として①グローバルな環境 ②問題解決能力が活かせる ③テクニカルな知識が活かせる の3点に絞りました。ジョブフェアに行ったり、求人サイトや人材紹介エージェントに登録をした中で、コンサルタントかプロダクトマネジメントのような仕事が良いのではないかと方向性が見えてきました。その中でも、プロダクトマネジメントは、転職先に求める条件を満たし、最後まで責任をもって製品・サービスに関われる点に魅力を感じました。
結果、大手ECサイトのグループ会社のプロダクトマネージャーとして転職をすることができました。社内のコミュニケーション言語は英語が中心で、自社プロダクトを担当するため残業もほとんどなく、同じ日本企業でも企業文化がかなり違う、ということに驚きました。そして、仕事でのコミュニケーションは英語の方が、自分の考えや気持ちが表現しやすく楽だと感じました。
プロダクトマネジメントは、私が得意とする問題解決や、テクニカルな知識が活かせる職種でした。海外人材が多いテック系の部署と、日本人が多いビジネス系の部署をつなぐような役割でしたので「自分の強みとスキルが活かせる理想的な仕事に出会う事ができた」と思いました。何よりも、この経験で「自分が何をやりたくて、どんな事に向いているのか」が明確になったことが一番の収穫でした。
プロダクトマネージャーとして仕事をしていると、「更にプロとしての経験を積みたい」「もっと大きなプロダクトのマネジメントに挑戦したい」と思うようになりました。転職活動は何度か経験をしている為、今回は方向性や求める職場環境などのターゲットも明確でした。まずは、プロダクトマネジメントのコミュニティーで企業のリストアップを行い、「プロダクトマネージャー」というポジションで募集がある会社を探して応募をしました。
面接前は「どういう会社でどういうサービスを提供しているのか」という企業研究をしっかり行いました。面接では、「自分がどんなことに興味があり、どんなスキルがあるのか」「そのスキルをどう活かせるのか」をしっかり伝えられるように心がけました
今の会社は、e-コマースのシステムを提供している会社ですが、1つのシステムに対してのパーツが多く、想像以上にシステムが複雑で驚きました。各パーツを調整しうまく稼働させることは大変ですが、とても学ぶ事が多くやり甲斐を感じます。ユーザーも多く、日本全国のたくさんの人が利用する影響力のあるサービスなので、毎日が刺激的です。
これからの目標は、プロダクトマネジメントの分野でさらにプロフェッショナルになることです。また、ロシアになかなかゆっくり帰省ができていませんので、リモートワークをするなどして、ワーケーションにも挑戦してみたいと思います。あとは、日本で自分の家を持てると良いな、と思っています。
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