日本式の席次(せきじ)をマスター!会議室で椅子に座る順序は?車で座る順番は?エレベーターにのる場所は?~「できる!」と思わせる日本式ビジネスマナー講座~
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NINJA事務局より
日本では、相手に直接、ネガティブな事を言わない文化ですので、ビジネスマナーを間違えていても、はっきりと指摘をしてくれる人はいません。
ビジネスマナー「できる!」と思わせる日本式ビジネスマナーは、はっきりとは教えてもらえない、日本特有のビジネスマナーやルールを解説するコーナーです。日本式ビジネスマナーを身につけて今日から「できる!」と思わせるビジネスパーソンになりましょう!
日本には「席次(せきじ)」という考え方があります。「席次」とは、どの席に誰が座るかという座席の順序、順番のことです。席次は、上下関係で座る位置が決まります。
ビジネスシーンでも、お客様・目上の人が座る席を「上座」、もてなす側・目下の人が座る席を「下座」と呼びます。これは、社内・社外の区別なく適用されます。
今日は会議室・車・エレベーターなど場面別に席次のルールをご紹介します。席次は目上の人への「敬意」や「心遣い」、お客様への「おもてなし」が基本になっています。ビジネスの円滑なコミュニケーションの基本ともなりますので、しっかりと覚えておきましょう。
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◆会議室における席次:会議室で座る順序・順番・場所は?
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【基本は入口に近いのが「下座」、遠いのが「上座」】
まず、どの場面でも共通する基本的なルールは「出入口に近いのが下座」、「出入口から遠いのが上座」です。どうしてか分かりますか?
出入口の近くというのは、人の出入りが多く、バタバタと落ち着かない場所です、一方入口から遠い席はそのようなわずらわしさがなく、静かで落ち着いた場所になります。そのような理由から「居心地がいい場所で過ごしてほしい」と言う気持ちを込めて目上の人やお客様に上座を勧めるのです。
【社内の会議の席次は?】
上記のルールを考えると、社内の会議での席次はとてもシンプルです。入口から遠いところが上座、近ければ下座となります。ただし、会議に「議長席」(会議室全体が見渡せるように、机がほかの人とは違う向きになっています)がある場合には、議長席が一番の上座になり「議長席から近い順に上座」となります。
【他社との打ち合わせの場合は?】
他社(複数名)と自社の社員(複数名)で会議や打ち合わせを行う際には、それぞれ同じ会社の人で横並びになります。出入り口に近いのが自社の人の並び、反対側が他社の並びとなります。もしそれぞれが3人以上並んでいる場合は、上座は「中央の人」となります。次に出入口から遠い人、近い人の順番になります。
【上座の人への配慮を忘れずに】
会議の際に資料を配る時や、来客の際にお茶を出す時にも、「上座から一番に」と覚えておきましょう。また、会議などでプロジェクターを使ったりホワイトボードを使って説明することがあると思いますが、そのような場合でも「上座」の人が見やすいようなレイアウトを心がけましょう。席順だけでなく、このような対応もマナーの一つです。
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◆車の席次:車の席に座る順序・順番・場所は?
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【相手の「快適」「安全」を基準に考える】
車の場合でも、基本的な考えは同じで「入口から近いのが下座、離れているのが上座」です。ただし、車の場合は「どの席が快適か」と同時に「どの席が安全か」も考える必要があります。状況によって上座・下座が変わりますので注意してください。
*下座の中でも一番下を「末席」と言います。覚えておきましょう。
・タクシーなどの場合
この場合の「末席」は運転席の隣の助手席です。お金を払ったり、道案内をする必要があったりと一番忙しい位置だからです。後部座席については基本的なルール通り、出入口(ドア)から遠いのが上座、近いのが下座です。上座は運転手の真後ろになりますが、ここは「一番安全な席」でもあります。ただし、後部座席が3人の場合はどうでしょうか。真ん中はちょっと窮屈で座りづらい場所ですよね。このような場合は、ドア側の人が代わってあげるといいでしょう。その時には「よろしければ代わりましょうか?」と一言声をかけましょう。
・お客様が運転する場合
お客様が運転する場合には、運転席の隣の助手席が「上座」となります。これは運転者への敬意を払うためです。もしお客様の同行者がいる場合には一番に助手席を勧め、いない場合には、自社の中で最も高い立場の人に助手席を勧めます。後部座席の席次は、タクシーの場合と同じでいいでしょう。
・自社の上司が運転する場合
基本的にはタクシーと同様の席次でいいでしょう。ただし、お客様が助手席を希望された場合には、それを優先します。
【状況をよく見て臨機応変に】
以上のことはあくまでも基本です。人によって好みがあり、目上の相手が席次のルールとは違う位置を希望するかもしれません。その場合はルールにこだわりすぎず、相手の希望に合わせて臨機応変に対応するのがスマートです。
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◆エレベータの席次:エレベーターでの順序・順番・場所は?
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【エレベーターにも席次がある?】
エレベータに「席」はありませんが、「席次」はあります。それでは、あなたが新入社員の場合、どこに立てばいいでしょうか。それは「操作盤(行先ボタンなどがある場所)」の前です。操作盤から近いのが下座、遠いのが上座となります。ただし、目上の人やお客さんが奥のほうに立つ場合は、操作盤の位置にかかわらず、「左が上座」です。これは、西洋の「左上右下(さじょううげ)」という考えからきていて、特別な基準がない場合は左側のほうが上席になります。
【エレベータに乗るときのマナー】
あなたが新入社員の場合ですが、エレベータのドアが開いたら、まずあなたが手でドアを押さえ、目上の人を奥のほうに案内します。皆が乗り終わったら、自分も乗り込み、行き先ボタンを押します。この時、後ろの人に背を向けないように、操作盤や壁側に背を向けるようにしましょう。行き先の階に着いたら、皆に先に降りてもらい、自分は最後に降ります。立ち位置だけでなく、こうしたマナーも覚えて実践していきましょう。
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まとめ 日本式の席次(せきじ)をマスターしよう!
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いかがでしたでしょうか。今日は3つ場面での「席次のルール」を紹介しました。少し振り返ってみましょう。
①会議室の席次
・出入口から近いのが「下座」遠いのが「上座」
・議長席は一番の上座になる
・上座の人から先にお茶や配布資料を配る
②車の席次
・快適性と安全性を考える
・タクシーの場合は助手席が下座
・お客様が運転する場合は助手席が上座
・相手の好みに合わせて臨機応変に対応する
③エレベータの席次
・操作盤の前が下座
・後ろのほうは「左側」が上座
・エレベータのマナーも合わせて覚える
席次はほかにも「飛行機」「電車」「レストラン」などにもあり、場面によってそれぞれの決まりやマナーがあります。初めのうちは間違えることもあるかもしれませんね。でも一番大事な基準はそして「この席で相手が快適と思うかどうか」です。ルールにとらわれすぎたり、自分の感覚を押し付けたりせずに「相手の希望を聞く」ことや「その状況をよく観察する」こともできるビジネスマンとして必要なコミュニケーションスキルです。間違えを恐れずにどんどん実践して慣れていきましょう。
ライター: Tanaka Kumi (外国人向けキャリアカウンセラー・日本語学習支援 Language Plus One 代表)