日本式!「報告」をマスターしよう!~「できる!」と思わせる日本式ビジネスマナー講座~
公開日:
更新日:
NINJA事務局より
日本では、相手に直接、ネガティブな事を言わない文化ですので、ビジネスマナーを間違えていても、はっきりと指摘をしてくれる人はいません。
ビジネスマナー「できる!」と思わせる日本式ビジネスマナーは、はっきりとは教えてもらえない、日本特有のビジネスマナーやルールを解説するコーナーです。日本式ビジネスマナーを身につけて今日から「できる!」と思わせるビジネスパーソンになりましょう!
日本の企業文化の中で、なかなか理解が難しいものの一つに「報告」があります。「細かく報告を求められて、信用されていない感じがする…」とか「私の仕事なのに、なぜ上司に報告するのかわからない…」など、報告に対して消極的になっている人も多いかもしれません。今回は日本企業での報告の意味や目的を確認して、さらに、どのような報告が求められているのかを一緒に見ていきます。仕事の効率を上げるためにも、ぜひ覚えて実践してみてください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◆日本式、ビジネスにおける「報告」とは
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
【ビジネスにおける報告の意味と目的】
ビジネスにおいての「報告」は、主に指示・命令されて行っている業務の進行状況や結果を、指示した人に知らせることを意味します。部下から上司に、または後輩から先輩に対して行うことが一般的です。
では、なぜ報告はビジネスで大事なのでしょうか。
一般的に仕事やプロジェクトには複数の人間がかかわっていて、それぞれが同じ目標に向かって仕事を進めていきます。現場でお客さんとコミュニケーションをとる人、それを指揮する人、さらにその上で方針を決める人、というように、それぞれ役割が決まっていて、報告はそれらをつなげるコミュニケーションの役割を果たしています。つまり、一人ひとりの報告が会社やプロジェクトの運営や意思決定にかかわる、重要な意味を持つのです。
また、上司の立場から考えると、部下から仕事の進行状況の報告があれば、安心して自分の仕事に専念することができます。部下の立場からも、問題があった時に上司にその都度報告して指示をもらうことで、不安を持つことなく仕事を進めていくことができますね。一方、トラブルが起こった時など、適切なタイミングで必要な報告が行われないと、問題が深刻化し、業務全体に影響を与えるおそれがあります。つまり、報告は「個人のパフォーマンスの向上」や「全体のスムーズな業務の進行」にもつながるのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◆日本式、正しい報告の仕方
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【報告の種類】
報告には様々な種類がありますが、大きく分けて「定期的なもの」「不定期なもの」、さらに「緊急度が高いもの」「緊急度が高くないもの」があります。以下に挙げる例を見てください。
1.定期的なもの
・仕事の進行状況
・仕事の完了
・毎日の業務報告(日報)
2.不定期なもの(緊急度が高いもの)
・仕事上のミス
・お客様からのクレーム
3.不定期なもの(緊急度が高くないもの)
・セミナーや研修に参加した後の報告
・業務に関する新しい情報を手に入れた時
【報告のタイミング】
報告のタイミングは、上記の報告の種類によって変わってきます。
1.緊急度が高いものは早く
仕事上の重大なミスやお客様からのクレームなど「緊急度が高いもの」に関しては、報告は早ければ早いほどいいです。言いにくいことほど深刻なことが多く、会社の信用にもかかわってくることなので、問題が大きくなる前に上司に話しましょう。自分の力ではどうにもならないことでも上司が入ることによって、問題がすぐに解決されるなどということもよくあります。
2.緊急度が高くなくても、聞かれる前に話す
仕事の進行状況や完了報告などの「緊急度が高くないもの」に関しては、上司のスケジュールを確認しながら適当なタイミングで行うといいでしょう。ただし、緊急でないからといってあまり日をあけてしまうと、上司を不安にさせてしまいます。「あの件どうなってるの?」と上司に聞かれる前に自分から伝えることを心がけましょう。普段から、上司とは適度にコミュニケーションをとり、話しやすい雰囲気を作っておくことも大事ですね。部署によっては「日報」のように、毎日その日の終わりに報告をさせるところもありますので、指示に従いましょう。
【伝え方】
伝え方で大事なポイントは3つです。
1.結論・結果から先に伝える
上司は状況を早く知りたいと思っています。まず結論を話してから、その経緯や原因
を伝えるようにしましょう。その際、言葉や文章が長くなりすぎないように簡潔にま
とめましょう。これは報告の大原則です。
2.事実と意見を分ける
報告の際に、実際に起こったこと(事実)と、自分が思ったこと(意見)を分けるのは重要
です。混同すると状況が正確に伝わらずに、上司に誤った判断をさせてしまうかもしれない
からです。まず「何が起こったか」という事実をしっかり伝え、その後に上司から意見を求められたら意見を言いましょう。「これは私の意見になりますが…」など一言添えると、事実との混同が避けられます。
3.悪い報告から先に伝える
良い報告と悪い報告があれば、悪い報告から先に伝えるようにしましょう。悪い報告は、す
ぐにでも対処しなければならない問題であることが多いからです。自分の評価が下がるの
を恐れてミスやクレームを隠すというのは最もやってはいけないことです。これはあな
たの問題ではなく会社の問題だと考えましょう。悪い状況だからこそ上司に正直に、正確に
伝えて、適切な指示をもらって対処するというのが正しいやり方です。
【伝える方法】
報告の方法としては、大きく分けて口頭と文書と2つの方法がありますが、これは報告の内容や緊急度によって使い分けます。
1.口頭で伝える(直接、電話など)
「緊急度が高いもの」はできるだけ口頭で行いましょう。例えば、お客さんとのトラブルが発生した場合などには、早急な対処が必要です。直接、または電話などですぐに上司に報告し、指示を仰ぎましょう。
トラブルやミスについては、あとで原因や経緯を詳細に書いた報告書を提出することもあります。これは再び同じことが起こらないように、社内で情報を共有するためです。
2.文書で伝える(報告書、メールなど)
一方で「定期的なもの」、「緊急度が高くないもの」、「報告の内容が複雑な場合」には報告書やメールなど文書の形で報告するといいでしょう。必要であれば、データやグラフなども一緒に見せます。確実に見てもらうには、メールで送った後に、口頭でそれを伝えるなどするといいでしょう。
会議やミーティングの報告書、研修会やセミナーに参加した後の報告書などは、定型文がありますので、それに沿って書くと、相手に伝わりやすくなります。口頭で簡潔に報告した後に、改めて文書で資料などと一緒に提出するとよりいいでしょう。
ここまで見てきたように、口頭だけ、文書だけと決まっているわけではなく、両方を合わせるパターンも多いです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◆日本式の報告で使われる表現を覚えましょう(口頭の場合)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【切り出す時】
・部長、今ちょっとよろしいでしょうか。
・部長、今お時間をいただけますでしょうか。
【報告する時】
・~の件について、報告いたします。
・~の件で報告があります。
【自分の意見を言うとき】
・これは私個人の感想ですが…
・これは私見ですが…
・私の意見としましては…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◆日本式「報告」のまとめ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまで、報告の仕方についてみてきました。もう一度復習してみましょう。
1.ビジネスにおける報告の意味や目的
・チームや組織をつなげる重要なコミュニケーションである
・一人一人の報告がチームや組織の意思決定のもとになる
・一人一人のパフォーマンスの向上、全体の業務のスムーズな進行にもつながる
2.伝え方
・内容によって伝えるタイミングを考える。緊急のものはできるだけ早く報告する
・伝えるときは「結論から述べる」「事実と意見を分ける」「悪い報告から先に」
・緊急のことは口頭でスピーディーに、複雑な内容は文書で分かりやすく
3.報告の表現(省略)
ここまで見てきたように、報告は個人のためのものではなくチーム全体、さらには会社全体にかかわる重要なものです。報告がしっかりできる人は周りからも信頼されやすくなります。伝え方も意識しながら積極的に行っていきましょう。
ライター: Tanaka Kumi (外国人向けキャリアカウンセラー・日本語学習支援 Language Plus One 代表)
こちらもチェック!【ホウレンソウ(hourensou)】の意味は?~学校では教えてくれないビジネス日本語講座~